若宮神社(甲賀市土山)

ここ若宮神社は、滋賀県甲賀市土山と三重県菰野市の県境近くに鎮座しています。

創建は垂仁天皇の皇紀635年と推測されています。

 

甲賀最大の河川、野洲川の上流。野洲川ダムのある人里離れた場所ですが、遠方からの熱心な参拝者が多い神社です。

 

主祭神は月読命(つきよみのみこと)。

境内社の皇大神宮は甲賀の元伊勢伝承地のひとつです。

 

この神社の最大の特徴は、神主が氏子の中から毎年選ばれて供奉するということ。

しかもその年番神主は、現代では信じられないような厳しいしきたりを守りながら、奈良時代から千数百代にわたって続けられています。

全てを書くことは難しいのでその一部だけ紹介させていただきますが

年番神主は誰でもなれるというわけではなく

 

  • 土山町大河原に出生した長男
  • 翌年の年番神主となる候補者は11月19日から自宅の奥座敷に注連縄を張り、若宮神社の神霊を祀って肉食を断ち、女性を遠ざけて毎朝みそぎの行を行う。
    (これを任期中と引き引継ぎの間の15ヶ月続ける)
  • 当番神主任期中は如何なる事情があっても仕事をすることは許されず、毎朝みそぎをしたあと早朝(冬季6時、夏季4時)に社務所に出仕し夜になるまで神事に奉仕する。
  • 帰宅後も自宅奥座敷のご神霊に参拝し、女性を遠ざけてそこで起伏する。

 

などなど・・・。

およそ100戸という小さな集落で、今までこの厳しい制度を続けて来たということが驚きでしかないです。

 

最初、参拝したときはこれらの事情をまったく知らずにいましたので、神社のご由緒など聞かせてもらえたらいいなぁとキョロキョロしていたのですが、きっちり裃をつけられた方(←この方が当番神主さんなのだと思います)が中に正座していらしてどなたかと真剣にお話をされていてとても話しかけられるような雰囲気ではなく・・・。

人の出入りも多くて、榊やお供え物もたくさんあったので「今日は何かのご神事のある日なのかな?」と思っていました。

そこで榊のお手入れをされていた方に恐る恐る話しかけて、こういったことを教えていただいたのでした。

 

参拝後、ご近所でお店をされている方にお聞きしたのですが、特に選挙や勝負事に有名な神社だそうで、政治家さんや経済界の方が遠方から相談に来られるのだとか。

(ご神託をおろされるようです)

 

一年間のご神事一覧も見せていただきましたが「えぇぇぇぇ?」と思うような数の多さに厳しさ。

本当に「よくこれだけのことを続けてこられたものだな」と思います。

 

境内のご神木は樹齢二千年を数えるとか。

ご神木以外もなんともいえない見事な樹勢で、この土地のエネルギーのすごさと不思議さを感じました。

勧請縄も特徴的です。(この巻き方は龍田大社で見ました)

それほど広大な境内ではありませんが、ここ大河原という地区のもつ役割はどのようなものだったのだろうと考えさせられました。

なお、神紋は私が個人的に興味を持っている橘紋でした。

 

(滋賀県甲賀市土山大河原1092)